21世紀5830日目のオンガク

曲名:帰って来たヨッパライ
歌:ザ・フォーク・クルセダーズ
1968年


北山先生の話しは何回も出てきた気がするのでやめる。
いや,それよりも,この帰って来たヨッパライには,子どもの頃の一種の
傷つき体験を思い起こさせられる。

小学校高学年の頃のこと。1980年代に突入していたから,
この曲について,子ども達は何にも知らないし,聞いて面白い声で
「オラは死んじまっただぁ~」ってとにかく笑えるっつうだけ。

どういうわけか,私は放送委員でもないのに,その日だけ,何か
給食時間の放送に出演するのだったか,放送室にいた。
で,放送室の隅っこにおっちゃんこして(=座って),
放送委員の誰かが,この曲を流したので,面白い歌だなぁとか思って聞いていた。

放送時間が終わった頃,放送委員の顧問のキタバヤシ先生が
勢いよく入ってきて,
「誰がこんなの流した!」
とかなんとか,怒った。
で,小学生の私たちみんなの前で,そのレコードを,バキッと割って,ゴミ箱に
投げて,出ていったのだった。

ヒーッ!! 恐ッ!!

みんな,固まったね。

この先生,カッとなりやすい先生ではあった。
図工を教える先生で,キレると恐い先生だった。

この先生のことは,もう一つ,忘れられない思い出がある。
6年生になって,図工の時間に自画像を描くことになった。
私は,絵を描くのはわりと好きで,人の似顔絵を描いたりするのも好きだった。
自分の顔もけっこうリアルに描けたなぁと,満足してた。
そろそろ描き上がりというときに,このキタヤバシ先生が,
やおら,水入れにさしてあった私の絵筆をとり,何も言わずに,
私の自画像に筆を入れた。
けっこう直していった。
みるみるうちに,私が満足していた私の顔は,陰影のある深い味わいの
絵になってしまって,ちっとも私じゃなくなった。
ものすごく腹が立った。
でも,自己主張の強い方ではなかったので,
水を変えるふりをして,教室を出て,そのままトイレに行って,
悔しくて泣いたのだった。
戻ってきてすぐチャイムがなったので,泣いた顔は気づかれなかった。

とにかくキタバヤシ先生には,ニガイ思い出しかなく,人を憎むことを
しなかった子ども時代の私に,唯一,憎々しく思った大人なのです。